高校生の探究と進路のAIガイド

家庭とAI 一次情報の再構成

文部科学省の生成AIガイドラインを家庭の言葉で読む

BRIEF この記事が扱うこと

このガイドラインは学校と教育委員会に向けた資料で、家庭のルールの作り方は書かれていません。それでも、家庭で使える材料は原典の中にあります。この記事では、原典の記述と家庭での読み替えを対応させて並べます。

記事の型 一次情報の再構成
配布素材 生成AIガイドライン 家庭向け確認表
参照した資料 1件(記事末に一覧)

学校から生成AIについての案内が来たとき、その根拠になっている資料がこれです。ただし、原典は学校と教育委員会に向けて書かれています。家庭で読むときは、置き換えの作業が要ります。

この記事では、原典の章立てをそのまま並べ、それぞれが家庭で何に使えるかを対応させます。要約は原典の記述に限り、編集部の見方は最後の見出しに分けて置きます。

要約と私見を分けています

「原典に書かれていること」の欄と引用は、公開されているPDFの記述に基づきます。「家庭での読み替え」の欄は、原典の記述をもとに編集部が置き換えたもので、原典にその文言があるわけではありません。

原典の基本情報

名称初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0
発行文部科学省 初等中等教育局
日付令和6年12月26日
分量33ページ(本編22ページ+参考資料編11ページ)
主たる読み手教職員や教育委員会等の学校教育関係者
位置づけ学校現場における適切な利活用のための参考資料。利活用を一律に禁止したり義務付けたりするものではない
前の版初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン(ver1.0・令和5年7月)

出典文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」(令和6年12月26日)p.2〜4

原典の構成と、家庭での読み替え

左が原典の記述、右が家庭で確認できることです。ページ番号は原典の通し番号です。

原典の箇所原典に書かれていること家庭での読み替え
はじめに
p.4
学校教育関係者を主たる読み手とした参考資料であり、学校現場での利活用を一律に禁止したり義務付けたりするものではない使ってよいかの判断は各学校・各教育委員会が行う。家庭の起点は、学校からの案内を確認すること
1. 生成AIについて
p.5
モデルの性質上、誤った出力(ハルシネーション)を完全に防ぐことは極めて難しいとされている誤りが混ざることが前提。答えの正しさを確かめる手順を家庭でも話しておく
2-(1) 人間中心の利活用
p.7
出力はあくまでも「参考の一つである」「最適解とは限らない」。最後は人間が判断し、成果物に自ら責任を持つ最後は自分で決めて、自分の名前で出す。この一点を家庭の原則にできる
2-(2) 情報活用能力
p.9
情報の真偽を確かめる方法(発信者・時期・内容・他の情報との比較等の組み合わせ)を意識的に学んでいくことが望ましい「どこで確かめたか」を聞く。1つの資料で終わっていないかを見る
3. 共通の5観点
p.10〜11
①安全性を考慮した適正利用 ②情報セキュリティの確保 ③個人情報・プライバシー・著作権の保護 ④公平性の確保 ⑤透明性の確保と説明責任家庭で直接動かせるのは①と③。②④⑤は学校側の体制の話が中心
3-2 学習場面での利活用
p.19
児童生徒が利活用する場合、プロンプトに氏名や写真等の個人情報を入力させないよう留意する入力しないものを家庭で先に決めておく(名前・写真・学校名など)
Box-5 例の一覧
p.18
学習場面で利活用が考えられる例と、不適切と考えられる例が並記されている家庭の線引きを考えるときの下敷きに使える。場面ごとに分ける書き方の見本になる
Box-6 課題の留意事項
p.20
生成AIを用いた際には、ツールの名称、入力したプロンプトや出力、日付等を明記させることが考えられる使ったAI・入力した指示・日付を控える習慣にする。提出のきまりは学校に確認する
3-3 教育委員会
p.21
実践の蓄積は学校や教職員によって大きな差があり、一律に禁止したり義務付けたりするような硬直的な運用は望ましくない学校ごとに扱いが違うことが前提。他校との違いをそのまま不備とは読まない
参考資料 チェック項目
p.25
児童生徒が学習場面で利活用する際のチェック項目が一覧化されているこの一覧は家庭向けに読み替えやすい。本記事の配布素材はここを基にしている
参考資料 リスクの例
p.28
AIに人格があるかのように誤認するリスク、外部サービスの価格・提供条件・利用規約が変わるリスク等が挙げられている相談相手としてだけ使っていないか、課金や規約変更の通知が来ていないかを見る

出典同ガイドライン Ver.2.0。左2列は原典の記述の要約、右列は編集部による読み替え

原典が「禁止でも義務でもない」と書いている箇所

家庭で最初に押さえる価値があるのは、この資料の位置づけです。

本ガイドラインは、教職員や教育委員会等の学校教育関係者を主たる読み手として、学校現場における生成AIの適切な利活用を実現するための参考資料となるよう、利活用に当たっての基本的な考え方や押さえるべきポイントをまとめたものであり、学校現場での生成AIの利活用を一律に禁止したり義務付けたりするものではない。

引用文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」令和6年12月26日p.4「ガイドラインの位置付け及び構成」

運用の判断は各学校と各教育委員会に置かれています。学校によって扱いが違うのは、この構造から出てきます。

使い方の原則として書かれている一文

生成AIの出力の扱いについては、次の一文が本編の考え方の中心にあります。

生成AIの出力はあくまでも「参考の一つである」「最適解とは限らない」ことを認識するとともに、リスクや懸念を踏まえつつ、最後は人間が判断し、生成AIの出力結果を踏まえた成果物に自ら責任を持つという基本姿勢が重要である。

引用同ガイドライン Ver.2.0令和6年12月26日p.7「(1)学校現場における人間中心の生成AIの利活用」

この一文は、家庭の会話にほぼそのまま持ち込めます。使う・使わないの前に、最後に決めるのは本人だという置き方が先に来ます。

家庭で確認できる4点

原典のうち、家庭の側で動かせる部分は限られます。編集部が整理すると、次の4点です。

1. 利用規約と年齢制限

原典p.10には、年齢制限や保護者の同意の必要性、生成物のライセンスの所在など、提供者が定める最新の利用規約を確認し遵守する必要があると書かれています。使っているサービスの規約を一度開き、確認した日付を控えておくと、次に見直すときの起点になります。

2. 入力しない情報

原典p.19には、児童生徒が利活用する場合、プロンプトに氏名や写真等の個人情報を入力させないよう留意すると書かれています。家庭では「入れないものの一覧」を先に決める形にすると、都度の判断が減ります。

3. 確かめ方

原典p.9には、情報の真偽を確かめる際、発信者・発信時期・内容・他の情報との比較等の複数の方法を組み合わせることが必要である旨が書かれています。会話の中では「どの資料と照らし合わせたか」を聞く形にできます。

4. 提出物と記録

原典p.18には、コンクールの作品やレポート・小論文等について生成AIの生成物をほぼそのまま自己の成果物として応募・提出することが、不適切と考えられる例として挙げられています。p.20には、使ったツールの名称・プロンプト・日付等を明記させることが考えられるとあります。提出のきまりは学校や課題ごとに違うため、先生の指示を確認するのが先になります。

4点はいずれも学校向けの記述の読み替えです

原典に「家庭ではこうする」と書かれているわけではありません。学校の方針と食い違う場合は、学校からの案内と先生の指示が優先します。

このガイドラインが書いていないこと

読み替えの限界も、先に見ておく価値があります。原典の範囲外なのは次の3つです。

書かれていないこと理由
家庭でのルールの作り方主たる読み手が学校教育関係者であるため。保護者への周知や理解を得ることの必要性は書かれているが、家庭の運用手順は扱っていない
特定のサービスの推奨・非推奨サービス名を挙げて評価する構成になっていない。留意点と選定の観点が書かれている
大学入試での扱いこの資料が対象としているのは初等中等教育段階。大学入試での取り扱いは範囲外

家庭のルールについては、別の記事で立場の分け方と決め方の手順を扱っています。

編集部の見方(ここから先は私見です)

ここまでは原典の要約です。ここからは編集部の読み方で、原典に書かれている内容ではありません。

家庭がこの資料から受け取れるものは、方針よりも場面の分け方だと考えています。原典のBox-5は、利活用が考えられる例と不適切と考えられる例を並べる構成になっています。「使ってよいか」を一度に決めず、場面ごとに分けて書く形です。この形は、家庭で話すときにもそのまま使えます。

もう一つは、原典が学校ごとの差を前提に書かれている点です。p.21には、一律に禁止したり義務付けたりするような硬直的な運用は望ましくないとあります。これは教育委員会に向けた記述で、家庭にそのまま当てはまるものではありません。ただ、学校によって扱いが違うこと自体は前提として読めます。

33ページを全部読む時間はありません。どこから見ればよいですか。
読者
家庭からの距離が近いのはp.18のBox-5とp.25のチェック項目です。どちらも箇条書きで、前後を読まなくても意味が取れます。本記事の配布素材は、この2か所を中心に組んでいます。
タネ

配布素材: 家庭向け確認表

原典の記述・該当ページ・家庭で確認できることを1行ずつ並べた表です。確認欄が付いています。

生成AIガイドライン 家庭向け確認表

seisei-ai-guideline-katei-checklist.csvCSV12項目・原典ページ付き

表計算ソフトで開いて使えます。印刷して確認欄を手書きで埋める使い方もできます。

よくある質問

このガイドラインは、家庭でのAIの使い方を決めているものですか。

いいえ。原典は教職員や教育委員会等の学校教育関係者を主たる読み手とした参考資料で、家庭でのルールの作り方は書かれていません。家庭で使えるのは、学校向けの記述を読み替えた部分に限られます。

学校で禁止されている場合、この資料はどう読めばよいですか。

原典には、学校現場での利活用を一律に禁止したり義務付けたりするものではないと書かれています。運用は各学校・各教育委員会の判断によるため、学校からの案内や先生の指示が優先します。

高校生が学校の外で使う場合も、この資料が当てはまりますか。

原典は学校現場での利活用を扱っています。学校外での利用については、保護者に周知し理解を得ることが必要である旨の記述があるにとどまります。学校外の使い方そのものの手順は書かれていません。

LIMITS この手順で解けないこと

  • 家庭でのルールの作り方は原典に書かれていません。この記事で示せるのは、学校向けの記述を家庭の言葉に置き換えたところまでです。
  • 学校ごとの運用の違いは分かりません。運用は各学校・各教育委員会の判断によるため、学校からの案内や先生の指示が優先します。
  • 学校外での使い方そのものの手順は、原典に書かれていません。

できることだけを並べても判断は早くなりません。扱えない範囲を先に出しています。

References

参照した資料

資料 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」 (令和6年12月26日・文部科学省初等中等教育局・全33ページ)

#文部科学省#公的資料#家庭のルール#チェック表

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