ツールの選び方 比較
生成AIの高校生向け比較表と、スライド作成で2つ試して選ぶ手順
どの生成AIを使うかは、学校の指定と今週の作業で絞り込めます。4つの型の比較表と、同じプロンプトを2つのAIに渡して採点する手順、出力を自分の言葉に直す方法をまとめました。
BRIEF この記事で終わること
生成AIの候補2つを同じプロンプトで試して採点し、使うAIを1つ決めて、スライド5枚の見出しを自分の言葉に直し終えている状態
| 記事の型 | 比較 |
|---|---|
| 所要時間 | 45分 |
| 必要なもの | 学校のAI利用の案内(分かる範囲で)、候補の生成AI 2つ、探究で調べた材料3つのメモ、筆記用具 |
| 手元に残るもの | 採点済みの比較表と、自分で直したスライド見出し5枚分の記録 |
| 配布素材 | 生成AI 比べて選ぶシート(スライド骨子編) |
| 参照した資料 | 2件(記事末に一覧) |
生成AIを高校生が選ぶときは、サービス名より先に学校の指定と今週の作業を決めると、候補を2つまで絞り込めます。文部科学省は令和6年12月26日に「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」を公表しました。同ガイドライン p.19 は、年齢制限をはじめとする約款などの提供条件を確かめる考え方を示しています。この記事では生成AIを4つの型に分けて、同じ軸で比べます。そのうえで、探究発表のスライド骨子作りで2つを試し、1つに決めるまでを5つのステップにしました。
生成AIの4つの型を同じ軸で比べた表
表は、高校生が探究や発表準備で触れやすい生成AIを4つの型に分けたものです。各サービスの年齢条件や料金は変更されることがあり、この記事ではまだ確かめていません。
| 型 | 例 | 利用条件の確認先 | 入力内容の扱いの確認 | スライド作成での使いどころ |
|---|---|---|---|---|
| 学校が配布・指定したAI | 学校アカウントで使う学習支援ソフトのAI機能 | 学校からの案内 | 学校と教育委員会の設定に従う | 授業の様式に沿った構成の下書き |
| 汎用の対話型AI | ChatGPT、Gemini、Claude、Microsoft Copilot など | 各社の利用規約 | 学習に使わない設定の有無を設定画面で確かめる | 見出し案と発表メモのたたき台 |
| 検索やブラウザに組み込まれたAI | 検索結果と一緒に表示される要約 | 検索サービスの利用規約 | サービスごとの説明ページで確かめる | 調べ物の入口として使い、数値は元資料で確かめる |
| スライド作成ソフトの生成機能 | 文章からスライドの下書きを作る機能 | ソフトの利用規約と学校の案内 | ソフトごとの説明ページで確かめる | 配置のたたき台として使い、中身は自分で入れ替える |
同ガイドライン p.19 によると、検索エンジンや学習支援ソフトに組み込まれた生成AIサービスにも同じ考え方が当てはまります。検索の画面で自動的に出る要約も比べる対象に入れておくと、候補の抜けが減ります。どれを選ぶかは、学校の指定と今週の作業の組み合わせで絞り込めます。
ステップ1 学校の指定と利用条件を10分で確かめる
最初の10分で、使ってよいAIと使う前の条件を3つ書き出します。1つ目は、学校が指定または案内しているAIがあるかどうかです。授業の配布資料や学校からのお知らせ、担任の先生への質問で確かめられます。2つ目は、候補のサービスの年齢条件と、保護者の同意が要るかどうかです。18歳未満の場合は、利用規約を保護者と一緒に読む進め方があります。3つ目は、入力した内容をAIの学習に使わない設定があるかどうかです。
入力した情報を学習させないという設定(オプトアウト)が可能な生成 AI サービスについては、機械学習を許容しない設定を講じた上で生成 AI を利活用することや、プロンプトからは学習を行わない生成 AI サービスを選択することを推奨することなどが考えられる。
この記述は学校現場に向けて書かれています。家庭で個人のアカウントを使う場合も、設定画面に学習の扱いを選ぶ項目があるかを見ておくと、ステップ4の採点に使えます。項目が見当たらないときは、シートに「見当たらない」と書いて先へ進みます。
ステップ2 試す候補を2つに絞る
候補は2つにします。3つ以上を同時に試すと、同じ条件で比べる時間が足りなくなりやすいためです。学校が指定しているAIがあれば、それを候補Aにします。候補Bは、比較表のうち今週の作業に合う型から選びます。スライドの骨子作りなら、汎用の対話型AIか、スライド作成ソフトの生成機能が候補に入ります。ステップ1で利用条件を満たせなかったサービスは、この段階で外します。
ステップ3 スライドの骨子作りで同じプロンプトを渡す
2つの候補に、同じ日に同じプロンプトを渡します。同じプロンプトを2つの型に渡して並べると、指示を守ったかどうかの差が見えます。次のプロンプトは、○○を自分の内容に置き換えればそのまま使えます。
あなたは探究発表の構成を一緒に考える相手です。 私の探究の問いは「○○」です。 調べて分かったことは次の3つです。①「○○」②「○○」③「○○」 この材料だけを使って、スライド5枚分の見出し案と、各スライドに置く内容の候補を出してください。 私が書いていない事実や数値は足さず、材料が足りない所には「要確認」と書いてください。 最後に、聞き手が疑問に思いそうな点を3つ挙げてください。
入力の前に、氏名・学校名・顔写真が入っていないかを確かめます。同ガイドライン p.19 は、プロンプトに氏名や写真等の個人情報を入力させないよう留意すると書いています。出力は2つとも保存し、シートに試した日付を書きます。
ステップ4 5つの軸で採点して1つに決める
2つの出力を並べ、次の5つの軸で0〜2点を付けます。1つ目の軸が0点のサービスは、合計点にかかわらず候補から外します。
| 軸 | 2点 | 1点 | 0点 |
|---|---|---|---|
| 学校の指定と利用条件 | 指定どおりで条件も確認済み | 条件の一部が未確認 | 学校の案内に合わない |
| 入力内容の扱い | 学習に使わない設定を確認できた | 説明はあるが設定が見当たらない | 説明が見当たらない |
| 指示を守ったか | 足した事実がなく「要確認」も書いた | 一部に足した事実がある | 書いていない数値を足した |
| 元資料へのたどりやすさ | 出典や確認先が示された | 確認先の一部が示された | 確認先が示されない |
| 自分の言葉への直しやすさ | 見出しを問いの言葉に置き換えやすい | 半分ほど書き直しが要る | 材料と関係ない内容が多い |
同ガイドライン p.19 は、生成AIの出力を慎重に判断し、正確性や事実関係を確かめるよう指導する重要性を挙げています。3つ目と4つ目の軸は、この確認にかかる手間を点数に置き換えたものです。合計が同じときに学校で使える方を残すと、授業と家庭で同じAIを使えます。
ステップ5 出力を自分の言葉に直し、使った記録を残す
決めたAIの出力を、次の順で直します。
- 見出し案5つのうち、自分の問いに直接つながるものに印を付け、残りは自分で書き直します。
- 出力に出てきた数値と固有名詞に線を引き、元の資料で確かめます。確かめられなかったものはスライドから外します。
- 「要確認」と書かれた所は、自分で調べて埋めるか、その1枚を減らします。
- 発表で話す文は、出力を閉じてから声に出して言い直し、言えた言葉で書きます。
- 使ったツールの名称、入力したプロンプト、日付をシートに記録します。
5つ目の記録について、同ガイドライン p.20 は、利用した生成AIサービスの名称、入力したプロンプト、生成AIを用いた日付を明示する例を挙げています。同じページの Box-6 には、生成AIに直させた文章を「たたき台」にする例も載っています。何度も自分で推敲し、その過程をワープロソフトの校閲機能で示して提出する形です。
AIを使ったことの書き方や、使ってよい課題の範囲は、学校や課題ごとに違います。配布シートの記録欄は、提出先の指示に合わせて書き換えて使えます。
配布シートで比較と記録を1枚にまとめる
配布シートは、ステップ1〜5を1枚で追える構成です。学校の指定、候補2つ、採点表、直した見出しの記録欄が上から順に並んでいます。
生成AI 比べて選ぶシート(スライド骨子編)
seisei-ai-kurabete-erabu-sheet-slide-kosshi.mdMarkdown5ステップ・記入欄30以上
今週の発表準備に入る前に、シートのステップ1の表を埋めるところから始められます。学校の案内が見当たらない行には「担任に確認中」と書き、ステップ2の候補選びへ進めます。
よくある質問
高校生が生成AIを使ってスライドを作ってもよいですか。
使ってよいかどうかや使える範囲は、学校や課題ごとに案内が違います。学校の指定を確かめたうえで、出力をたたき台にして自分の言葉に直す使い方があります。
生成AIに個人情報を入れないために、何を確かめればよいですか。
文部科学省のガイドライン Ver.2.0 p.19 は、プロンプトに氏名や写真等の個人情報を入力させないよう留意すると書いています。入力の前に、氏名・学校名・顔写真が入っていないかを確かめる方法があります。
LIMITS この手順で解けないこと
- 各サービスの年齢条件や料金の最新情報は、各社の公表ページで個別に確かめる必要があります。
- 学校が特定のAIの利用を認めているかどうかはこの手順では判断できず、学校への確認が要ります。
- スライドのデザインや、発表の話し方を上達させる方法までは扱っていません。
できることだけを並べても判断は早くなりません。扱えない範囲を先に出しています。
参照した資料
資料 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」 (令和6年12月26日公表。p.19「(3)利活用の際のポイント」①安全性を考慮した適正利用、②情報セキュリティの確保、③個人情報やプライバシー、著作権の保護、④公平性の確保を参照)
資料 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」 (令和6年12月26日公表。p.18 Box-5「学習場面において利活用が考えられる例、不適切と考えられる例」、p.20 ⑤透明性の確保と Box-6「課題に関する留意事項について」を参照)



